プロダクトマネジメントの名著の1つと呼ばれている「INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント」を読んだので今の自分にグサグサ刺さったことや感想をまとめます。
(この本をシリーズは他には「EMPOWERED 普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ」や「LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング」があります)
この本を読んだタイミングでは自分のプロダクトマネージャー(以下、PdM)歴は1年4ヶ月です。
なおプロダクトマネジメントに関する本に関する記事は他に書いています。(読んだ本すべてに対して記事を書いているわけではないですが…)


PdMの重要な4つの責任
PdMが開発チームにもたらすべき重要なことは4つ。
責任 | 内容 |
---|---|
顧客に関する深い知識 | PdMは顧客の専門であるべき 顧客が抱える問題、悩み、欲望、考え方を知る必要がある BotBプロダクトの場合は仕事のやり方や購入の意思決定方法も知るべき 顧客に関する知識がなければ日々の判断に根拠がなく推測になってしまう 顧客に関する情報は定量的な学習、定性的な学習どちらも必要 |
データに関する深い知識 | PdMには最低限のデータを分析する能力が必要 ほとんどのPdMは毎朝30分ほど、分析ツールで過去24時間で行ったことを把握する |
自分のビジネスに関する深い知識 | ビジネスとその仕組み、ビジネスの中で自分の製品が果たす役割を理解すること 多くのPdMが難しいと考えている |
市場と業界についての深い知識 | 競合企業の情報、キーとなる技術の動向、顧客の行動、市場と顧客に影響を与えるソーシャルメディアの役割の理解 |
個人的にはできていないことが多いなーと思いました。(序盤から「うわあ、できていない…」ってなった)
データ分析についてはずっとやりたいなと思っていたので(担当しているプロダクトの状態にもよりますが)2023年後半もしくは2024年前半くらいにはやりたいです。
プロダクトが失敗したらPdMの責任
以下の内容も読んでいて改めて肝に銘じておきたいなと。(全部大切ですが、個人的に特に大切だと思うところを太字にしてみました)
- 全てのビジネスは顧客に依存している
- 顧客が買うもの(あるいは選んで使うもの)が製品である
- 製品は製品開発チームが生み出す成果であり、製品開発チームが何を作るかに責任を持つのがPdM
- PdMこそが製品の成功に責任を持ち、説明責任を負う人
- 製品が成功するのは、開発チーム全員がすべきことをしたから
- 製品を失敗したとき、責任はプロダクトマネージャーにある
1番最後の言葉はこれからPdMを目指す人が少なくなりそうなくらい強烈な言葉ではありプレッシャーがかかりますが、当事者意識を持たないといけないです。
担当している製品(プロダクト)を失敗させないように頑張ろう…
製品発見に関する手法がたくさん書かれている
本書では製品発見には以下の2つが必要だと書かれています。
- 顧客が必要とするソリューションを見つける
- 信頼する価値があると思われる頑強で拡張性の高い実装の出荷
より価値の大きな製品を発見するための手法として以下が紹介されています。
手法 | 内容 |
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ワーキングバックワードプロセス | 製品開発を架空のプレスリリースから始める プレスリリースではなく、製品に感動し、喜んでいる顧客がCEOに送った仮想のカスタマーレターを作る方法の方が本書では推している |
スタートアップキャンバス | 新しい製品をつくるときに事前にさまざまなリスクを発見し、チームに共有するための軽量のツール 製品の全体像の理解に繋がる、主にビジネスのどういう分野に影響を与えるかを理解できる 類似のものにビジネスモデルキャンバス、リーンキャンバスがある |
ユーザーストーリーマップ | 2次元のマップ 横軸には主要なユーザーアクティブを、大まかな時間順に左から右に並べたもの 縦軸には主要なユーザーアクティブに対応したユーザータスクを具体化し、各タスクにストーリーを加える |
顧客発見プログラム | リファレンスカスタマーを獲得するための手法 リファレンスカスタマーとは現実の顧客であり、製造された製品を使い、その製品に現実にお金を支払い、自分がどれほどその製品を愛しているか進んで人に話してくれる顧客 |
コンシェルジュテスト | 顧客に代わり、手作業で個人的に顧客の仕事をすること |
フェイクドア需要テスト | 新しい機能の需要をテストするために用いる UXの適切だと考える場所にボタンかメニュー項目を加える クリックすると新機能が使えるのではなく、特別なページが表示され、「開発チームが新機能の追加を検討しているのでそれについて相談に乗ってくれる顧客を探しているよー」的な説明を書く |
ランディングページ需要テスト | フェイクドア需要テストの製品単位バージョン 実際にサービスを開始したときを全く同じ形でそのサービスを説明できる |
ワーキングバックワードプロセス、フェイクドア需要テスト、ランディングページ需要テストとかはこれまで経験が全くなくそもそも選択肢として自分が持っていなかったので今後使えそうだなと思いました。
PdMとして強くなるためには他の先輩PdMの方々が言っているとおり実践(実戦)あるのみ!だとは思いますが、その状況に応じて複数選択肢ある中から良さそうな施策を採用する意思決定を行うことが多いので、自分の中に引き出しをたくさん持つことは価値のあることなのではと思っています。
ビジネスの視点を持てるPdMは強い
PdMの責任は以下の2つです。
- 顧客の課題を解決できるプロダクトをつくること
- つくったプロダクトを自社のビジネスの成長に繋げること
本書では多くのPdMは前者に長けている人は多いが、後者が苦手がな人が多いと書かれていました。
おそらくPdMにはエンジニアなどの開発をバックグラウンドに持つ方が多いからなのではと勝手に予想しますが、今の自分自身がまさにそれに当てはまっているなと思います。(”長けている”かどうかは怪しいですが、カバーできる領域は圧倒的に開発視点の比率が大きい)
- これができるようになることで(顧客が喜んでくれるのは前提として)自社の売上にどれくらい貢献できそうなのか
- そもそも事業的に問題ないのか?(規制や倫理面含む)
など、ビジネス視点と開発・プロダクト視点のバランスを取りながらプロダクト開発をマネジメントできる人材はかなり強いと思います。
私事ですが、ビジネスサイドとのコミュニケーションが不足していることにより失敗をした経験があるので、ビジネスサイドのメンバーとのコミュニケーションを定期的に取ってプロダクトチームが持っているアイディアや構想を共有していこうとしています。
PdMになりたてに読まなくても良さそう
世界の優秀なPdMの実績をもとにPdMとしての重要なノウハウを紹介しているので、内容は全体的に実用性が高いです。「PdMになったらまずこの本を読むべし!」とよくSNSやnoteで書かれていますが、個人的には微妙だなと感じました。人によってはそこまで解像度高くイメージできないと思いますし、理解できないと思います。(自分も1年前に読んでいたらよくわからなかったと思う)
個人的にはまずは以下の書籍などを読むのが地盤固めに良さそうだなーと。(個人の意見です)
- プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで
- リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
- イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」
- ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
この本を読んだのはPdMの経験が1年以上経ったタイミングだったのですが、結果論ですが刺さるところも多く読み進めやすかったのでこのタイミングで読んでよかったと思っています。
最後に
繰り返しになりますが、このタイミングで読んで結果的にかなり良かったです。
そして本書の内容もよく、すべての現役プロダクトマネージャーが1度は読むべきな1冊だと思いました。
P.S.
本書の始めらへんに「プロダクトマネージャーという役割に必要とされる時間と努力は、あなたが製品とその役割に個人的な情熱を持っていないならば、仕事を続けるのが極めて難しいレベルだ。」と書かれてなかなかに刺さりました。もし今後現職を辞めることになったら理由は間違いなくコレだろうな…笑
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